滲出性中耳炎

主に幼時期の子供さんに起こる病気です。症状は耳閉感(耳が塞がった感じ)、難聴で通常発熱や痛みはありません。幼児では訴えがなく、いつの間にか滲出性中耳炎になっていることがよくあります。

鼓膜の奥にある鼓室という小部屋には、鼻の奥にある耳管という管を通じて、鼓室の中に空気が出入りし、適正な空気の量が鼓室内に保持されます。(高いところに昇り耳がツンとしたときに唾液を飲み込むと耳管が開きます。)

幼児期には耳管の機能が十分発達していないので滲出性中耳炎になりやすいのです。治療は鼻や喉の局所治療、内服薬(鼻炎や副鼻腔炎に対して)、通気(耳管を通して空気を鼓室へ送り込む)、鼓膜切開、チュービングなどを状態に応じて行っていきます。

滲出性中耳炎は治りにくく、繰り返し易い病気で、何か月か或いは何年も続く場合もあります。しかし、ある程度の年令になれば耳管機能が改善して、多くの人は後遺症を残すこと無く治癒しますので、根気よく付き合うことが必要です。

成人の滲出性中耳炎はご高齢の方に多く、やはり何回も繰り返すことが多い病気です。多くは耳管機能不良のために起こりますが、まれに鼻の奥(上咽頭)に腫瘍が出来て耳管が塞がり、発症することがあります。成人で滲出性中耳炎になっている方は一度は上咽頭の内視鏡検査が必要です。

鼓膜の奥に透明な液体が溜まります。液体の量が多く鼓膜の陥凹が強いと難聴も強くなります。難治性の場合は鼓膜を切開・排液して換気チューブを入れることもあります。